ムラキミハルキアレルギー

昔は好きだった。家に、兄が買った風の歌を聴け他の文庫が何冊かあって、それではまった。エッセイも含めて出てたものはすべて読んでいったと覚えている。ノルウェーの森は興味本位で読んだけど、本当に心に響いたのは世界の終わりとハードボイルドワンダーランド。これはハードカバー版を自腹で買った。ねじまき鳥までは良かった気がする。スプートニクを読んだころから、それまでの作品との区別がつかなくなった。カフカを読んで、「もういいかな」と思った。1Q84は人に押し付けられて読んで、「もう、完全に終わったな」と自分の中のムラカミブームについてひとりごちた。
それからしばらくたって、本屋で、雑文集をみて、エッセイなら読めるかな、と思って買った。読んでみると、あの、翻訳調の文章スタイル、そこはかとなく漂う傲慢感、優越感、気取り、すべて鼻について最初の数ページから先に進めない。
アレルギーというよりは、こちらも年を重ねて、本物がわかるようになり、フェイクを受け付けなくなったのかな、という感じ。